介護ビジネスの背景と現状

富士経済東京マーケティング本部によると、日本が全人口のうち65歳以上の人が7%を超える「高齢化社会」に突入したのは1970年です。

その後、1994年に14%を超え「高齢社会」になり、現在は17.2%に達している。2025年には27.4%に及ぶと推計され、日本の高齢化のスピードは、世界に類を見ない速さで加速化しています。

 このような環境のもとで、介護ビジネス市場は右肩上がりの成長産業として、業種を問わず企業の熱い注目を浴び、2000年4月介護保険制度が施行されました。

同本部によると、介護保険制度は民間企業の事業参入を促進させ、従来の規制を緩和することにより介護サービスの供給量を図ろうとするものでありました。

これにより介護ビジネスに関連が深い医療や医薬品業界からの参入のみならず異業種企業からの新規参入も活性化しています。

『図解革命!業界地図最新ダイジェスト 2007年版』によると、介護サービス業界の業界規模は2兆8,615億円とされています。『シニアビジネス業界がわかる』では、2015年のシニアビジネスの市場規模を127兆円と推計しています。

日本総研の提言

日本総研によると、上場大手事業者の経営状況は、訪問系サービスにおいては「規模の経済性」が働きにくい構造が働いています。また、各社とも介護報酬の改定に大きく左右される事業環境をリスクとして認識しており、今後、訪問系サービスが縮小する可能性もあります。既に比較的業績の良い企業は、より収益性の高い通所・居住系サービスに注力しています。

日本総研は提言として「訪問介護ビジネスを発展させていくには、事業者間の競争を健全な形で促進する制度設計が望まれる」と指摘しています。具体的には、「.事業者の経営改善のインセンティブの強化」「市町村による事業者監視の強化」「市場の予見可能性の向上が必要」と指摘しています。一方、保険財政の安定化に向けた取組も急務であり、「負担増加」または「給付抑制」に関する国民レベルでの議論が求められている、と結論づけています。

介護ビジネスの厳しい現状

2000年度の介護保険制度の導入により介護ビジネス市場が誕生しました。しかし、日本総研によると、その主な担い手として期待された訪問系介護事業者の経営実態は厳しい状況になっています。

その理由としては、報酬制度が柔軟性に欠けることや、サービスの担い手であるヘルパーの不足が深刻化していることが挙げられます。また、非正規雇用の活用による稼働率向上に限界があることが指摘されています。